掃き溜めに酒

書いてみる、書きたいと思ったことを

ディーコン・ディーコン④

テンテンテンテテテトン、テンテンテンテテテトン。

テンテンテンテテテトン、テンテンテンテテテトン。

 

(音を文字にすると頭が処理できなくなり、文字がただの記号に見えてくる)

 

何かというと「under pressure」のベースライン。それはとてもシンプル。でも、耳に残る。音を加工したり、高度な技術を駆使したり言うなれば、強引に聞かせるベースもあるが、それに比べるとなんとも簡潔な音の響き。善き哉。

 

ベースに限らずだとは思うが楽器を練習するための環境を確保することは意外と難しい。その点は、田舎でよかったと思う。コンポからCDで音源を流す。それに合わせてベースを弾くアンプに繋いでだ。決して小さくない、拙いベース音が周囲の住宅にも聞こえてたはずで、今考えると恥ずかしい気持ちもあるが、当時は何も気にならなかった。没頭あるいは夢中。人生において数少ないものだと思うが、当時の筆者はそれを体験していたのだと思う。そういう「もの」に10代のあの時期に出会えたことはいいことであった。

一般にはその「もの」を部活に見出すことが多いと思う。そしてそれは社会的にもそう望まれているように感じる。筆者の通った高等学校には、生徒は何かしらの部活動に所属しなければならないという決まりがあった。そのため、多くの生徒は中等学校の時と同じ部活に入っていた。それに当てはめればソフトテニス部として3年間を過ごすことになるのだが、職業研究部という名前の部活に所属した。名前こそあれ、実質は帰宅部であり、部活動を真面目に行わないはみ出し者が最終的に所属する、そんなところだった。そのため部活動の記憶などは一切ない。登録届を出してそれ以降の活動は一度もなかったのだからある意味、笑い話だ。学校が終われば帰宅してベースを弾く。一人だけのベース部部員、高等学校時代の筆者はそんな学生だった。