子供の頃、古い白黒の写真を見て「昔は色がなかったんだ」と思った。
もちろんそれは間違いなのだけれど、その時は本気でそう思ったんだ。
今、君はその画面を見ている。
少しだけ視線をずらせば、きっとたくさんの色が見えるよね。
君が見ることができる、すべての色には名前がある。
例えば、雨に打たれて色褪せた看板のあの色にもね。
先人たちはたくさんの名前を「色」に与えた。
そこには新しい色と出会った感動があったのかもしれない。
でもその多くは今では忘れられてしまっている。
赤とredは違うし、青とblueは違う。それが僅かな違いでもね。
多くの色を忘れてしまった今の時代。
僕らが生きるこの世界こそ、白黒なのかもしれないよ。
hhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhh永田泰弘「日本の色・世界の色」ナツメ社(2010年3月刊)
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