熱しやすくもないが、冷めやすい。このブログを書いているのはそんな男だ。そんな男にしては珍しく、続いている趣味がエレキベースであり、そのきっかけになったのがQUEENのジョン・ディーコンだ。その経緯と、それに伴う楽器遍歴そんなところを書いてみたい。もしこの文章が「ボヘミアン・ラプソディ」を見てベースに興味を持ったそんな人の目に入れば嬉しい。
男が音楽に興味を持ち始めたのは中学生の時。あるいはそれは、思春期特有のモヤモヤへの対処法の一つだったのだと今では思う。最初はテレビに映るような有名ミュージシャン。それから少し経つと、雑誌などの情報からテレビには映らないがいい音楽を作っている人たちがいるということを知る。今は当たり前にネットだが、中学生時代はネットの世界と接点がなかったので情報は専ら紙媒体から得ていた。スピードは遅いながらも得ていた情報は濃かったそんな気がする。
インディーズバンドとよばれた彼らはその当時、間違いなく一つのブランドだった。自分たちのやりたい音を出す。言いたいことを歌詞にする。そんな彼らに夢中になることに時間はかからなかった。バンドが放つ音楽はもちろん、何よりもその見た目に虜になった。いろいろなライブの写真、音は聞こえなくてもそれだけでかっこいいものだった。そして男はギターをやってみたいという感情と遭遇することになる。
男はギターという入口を選んだが、紆余曲折経て現在はベースという道を歩いているわけだ。
「そうだ、ギターを買おう」
そうは言ったものの何を買えばいいかもわからない。とりあえず楽器屋さんに行くことにした。田舎の唯一のギターショップ。その店で一番高値なのだろう、壁に20万円のレスポールが恭しく飾られている。その周囲にはエレキギター、アコースティックギターがたくさん並ぶ、まるでスターと取巻きだ。エレキギターを買いに行った男が、帰宅時に抱えていたのはモーリスのブルーのアコースティックギターだった。
「エレキギターは弦が柔らかい、アコースティックは硬い。アコギから始めた方があとあとエレキに持ち替えてもスムーズだと思いますよ」
今思えば続けてエレキギターを買わせるための布石だと思うが、そのショップもなくなってしまった。あのレスポールや取巻き達は今どこにいるのだろうか。
さて、経験からの私的な意見だが、エレキギターから始めることになんら問題はないと思う。指使いになれてない初心者ならば柔らかい方が練習もしやすいだろうとも思う。もし、あなたがギターを始めようと思ったならば、薦められたものよりも自分の欲しいと思ったものを買うべきだ。初めての楽器は、その後のモチベーションに直結する重要な要素だから。今は情報がたくさんある。「初心者はこれを買え」というのもよく目にするが、自分で探して「コレだ!」と思える、あの感覚はとても貴重な経験だ。そういった意味で初心者が安い楽器を選ばないといけないとも思わないし、いきなりある程度の値段の物を選んでもいい。自分の好きな音楽を探すのと同じで、楽器選びというのは、感性を磨くための一つの方法であるのは間違いないからね。